小説 RYDIEN(ライデイン) プロローグ1

 1: 再来

 

 それは地球を目指すかのように奔り、光の尾を引いて飛来してきた。

 分厚いオゾン層と大気の壁を突き破り、灼熱をまとい降りてくる。

 一直線に地球の大地へ突き刺さるのかと思われたが、それは急に曲がり、墜落進路を大きく変えて、日本の近海へと降り立った。

 

「デインが帰ってきました」

 巨大な水柱と大津波を眺めながら、夕焼け空の下、か細い少女の声。

「予測よりも17年もずれましたね」

 少女の隣にいた白衣を着た青年ほどの男。眼鏡のブリッジを指先で押さえながら言ってくる。

「1999年だったはずが、ここまで予測がずれるとはいやはや……予言がただの妄言だとずっと思っていましたよ」

「それでもアナタは待ってくれた」

「ええ、待ちましたとも。本当にただの妄言でしかなかったのなら、とっくに君との縁は切れていた」

 高々と経つビルの屋上でウェーブのかかった髪を押さえ、赤々と燃える夕日の境目をいつまでも見ていた。

「17年も年を取らない君が傍にいたから、僕はこうして君の言葉を信じ続けていられたんだ。子供の頃からずっと、愛していた君を」

「私はあなたを愛していない。時臣(ときおみ)」

「分かっているよ、ずっと前から知っていた。ただの一方通行でもいいのさ。僕は、それでも君を愛している。その事実に酔って、夢を見ているだけでいいんだ」

「終末が始まる」

「ああ、約束の時だ」

「私達は生き残れるかしら?」

 その言葉に、時臣はふっと笑った。

「月並みだけど、それこそ神のみぞ知る。……のだろうね」

 少女は大手を広げて、空を大きく抱いた。

「世界は、こんなにも美しい」

 その言葉には一片の曇りの無い、愛を説く声だった。