小説 RYDIEN(ライデイン) プロローグ2

 2: 響 晃(ヒビキ アキラ)

 

 頬杖を付いて、窓の外を眺めながらぼそぼそとした購買の焼きそばパンを齧る。

 反対側を観れば、クラスメイトが各々にランチタイムと談笑を楽しんでいた。

 はっきり言って、他人に興味が無い。

 かつては友達もいた、親もいた、祖父母もいた。

 だが高校二年の今の俺には何も無かった。

 晴れた空が大嫌いだった。

 青い空を見ると思い出す。医者は軽度のPDSD(心的外傷後ストレス障害)だと言った。治る気配は微塵も無い。

 親の不審死。もう何年も前に父と母は二人そろって首をつって死んでいた。

 そう、こんな晴れた空の下で。

 近くの公園で二人は自殺した。

 不思議な事に、遺体を見つけるまで誰も、誰一人として二人の姿を見なかった。まるで、突然二人の首吊り死体が現れたかのように。

 理由……自殺する動機が無かった。

 父は健康そのもので明るく大雑把で、悩みなどとは疎遠な気質。

 母はおっとりしていたが人当たりがよく優しくあたたかい人だった。

 そんな二人が、ある日突然にこの世界から去っていった。俺を置き去りにして。

 元々心臓が弱くなっていた祖母は、あとを追うように心労がたたって亡くなり。最後に残った祖父もガンがリンパ腺に転移して死んだ。

 手元に残ったのは、父母と祖父母が残したちょっとした大金ほどの遺産金と俺一人だけになった家だけ。

 鬱になりそうなほど空が青い。

 ここから南にある遠州灘沖に落ちた巨大隕石が、俺の家に落ちればよかったのに。

 そうすれば何も無くなる。

 自分も、なにもかも……。

 何故自分だけが残ったのか。いっそ俺も一緒に死ねばよかったんだ。

 この世界は間違っている。

 なんで俺だけが生きているんだ?