小説 RYDIEN(ライデイン) プロローグ3

 3:第一種地球獣 

 

 ズシン……ズシン……

 鈍重な足音ともにアスファルトが小刻みに揺れる。それにあわせて電柱のケーブルが揺れた。

 主に中心市街地に生息する鳩の群れが、忙しなく逃げ惑っていた。

 ズシン……ズシン……ズシン……

 突如に信号の明かりが消えた。ほとんどの車が停止し、何音かと人々が辺りを見回す。

 すると、大勢の人間の上に巨大な影が差した。

 「うわあ!」「きゃあ!」「なんだ!」

 ビルの合間を縫って、何かを探すようなしぐさでその巨躯はうろうろと平然な面持ちで市街を歩いていた。

 目下の市民達には目もくれず、鼻を引く付かせてきょろきょろと頭を振る。振った巨大な尾がビルの側面に当たり、破壊音を立てた。

 現れたのは巨大な犬か狼か。

 全身が銀色の毛並みに覆われた四足歩行の巨大な生物。

 その巨大生物の前足が、ちょうど近くに留まっていた乗用車の上に乗り。

 ぐしゃり!

 体重を乗せた前足、まるで紙の様に乗用車が踏み潰され、爆発した。

 それが周囲の人間のあっけにとられた顔を奪い去り、人々がようやく慌てふためいてその巨大生物から蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。

 

「本当に現れたんですね」

 街のいたるところに設置された防犯カメラを傍受した画面を見て、淡々と呟いた。

「……にしても早いですね、昨日の今日ですか」

「早いか遅いかは問題ではないわ」

「彼方(かなた)……」

 彼方と呼ばれた、ウェーブヘアーの少女は、時臣と並んで画面を眺めていた。

「第一種地球獣。赤城湊(あかぎ みなと)特務二尉へ連絡して、早急に『彼』を回収してデインの元へ」

「分かったよ、彼方」

「終末はもう、始まっているの。私も行くわ、デインの元へ」